Q:交通事故にあったのですが、加害者にどのような損害を請求できるのでしょうか。 |
A:事故により、現実に支出した治療費、通院費などや、休業損害、後遺症や死亡による逸失利益、入院・通院に対する慰謝料、後遺障害に対する慰謝料が請求できます。 |
Q:逸失利益とは何ですか。 |
A:交通事故で、死亡したり、後遺障害が残った場合に、将来得られたはずの利益を逸失利益といいます。 |
Q:治療費等かかった費用はどのように請求するのですか。 |
A:完治あるいは症状が固定するまでの入院費、診察料等の治療費を請求できます。通院のためかかった交通費、看護のための近親者の交通費も請求できます。付添介護が必要な場合は、付添介護費を請求できます。領収書を散逸しないようにしましょう。具体的にどのくらいの金額を請求できるのかどうかは、ケースにより違いますので、弁護士に相談するとよいでしょう。 |
Q:治療費はかかっただけ支払われるのでしょうか。 |
A:必要性のない過剰診療の場合は、支払が否定されることがあります。その他、医師への謝礼金、将来の手術費・治療費等、学生・生徒・幼児等の学費、保育費、通学付添費、義眼・義足などの器具購入及び将来の交換費、家屋の改造費なども認められる場合がありますが、これらについては、必要性や相当性が問題になることが多いので、弁護士に相談されるのがよいでしょう。 |
Q:死亡事故の場合に、かかった葬儀費用等は支払ってもらえるのでしょうか。 |
A:葬儀関係費用も請求できます。しかし、葬儀費用については、現実にかかった金額をもらえるわけではなく、裁判例では150万円を目安として、それより高額な場合は150万円程度に制限され、少額な場合は現実にかかった金額になります。 |
Q:休業損害や逸失利益には、どの範囲を請求できるのでしょうか。 |
A:大きく分けて、給与所得者、事業者所得者家事従事者、無職・学生別に請求します。
給与所得者の場合 |
事故前の収入を基礎として、現実の収入減を請求できます。勤務先発行の休業損害証明書や源泉徴収票等によって、休業期間と事故前の収入を、診断書等によって休業の必要性を証明する必要があります。
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事業所得者の場合 |
現実の収入源があった場合に認められます。過去数年分の確定申告書によって、現実の収入減を証明する必要があります。 |
専業主婦(夫)の場合 |
専業主婦等の家事従事者は、現実の収入はありませんが、家事労働も財産的評価が可能なので、家事に従事できなかった期間の休業損害を請求できます。その場合の算定の基礎となる収入は、賃金センサスという労働者の平均賃金表などによって定型的に計算されます。(資料@) |
パート収入がある主婦(夫)場合 |
パート等の収入がある場合には、現実の収入額と労働者の平均賃金額の高い方が基準となります。 |
学生の場合 |
学生については、現実に収入があれば、認められます。また、治療が長引き、卒業や就職が遅れた場合には、それらが遅れなかったときに得られたはずの給料が損害として認められることもあります。 |
無職者の場合 |
労働能力・意欲があり、かつ、治療期間中に就職できた可能性が高かった場合には、認められることもあります。 |
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Q:入院通院に対する慰謝料はどのくらいもらえるものなのでしょうか。 |
A:入通院期間を基礎として、裁判の蓄積である程度の基準が存在しています。例えば、入院1ヶ月通院2ヶ月で77万円くらいが基準になります。もっとも、通院期間は長くても、通院頻度が少ない場合には、実治療日数の3.5倍を基準にする場合もあります。 |
Q:まだ通院中で、損害の総額がどのくらいになるかは分からないのですが、事故によりの仕事を失ってしまったので、生活に困っています。この場合でも、損害賠償の請求ができるのでしょうか。 |
A:症状が固定しておらず、まだ、損害総額が、確定していない場合でも、自賠責保険の保険会社に対して、仮渡金や内払金の支払いを請求することができますので、内払い金の支払いを請求し、症状が固定するまで、治療の専念することもできます。 |
Q:症状固定とは何ですか。 |
A:これ以上治療を継続しても症状の改善が望めなくなったことを症状固定と呼び、残存する障害を後遺障害と呼びます。 |
Q:死亡の場合の逸失利益はどのように算定するのですか。 |
A:将来の就労可能年数に対応する中間利息控除のための係数(ライプニッツ係数と言います。)の一覧表がありますので、それをもとに、「年収×就労可能年数に対応するライプニッツ係数×(1−生活費割合)」という計算式で算出されます。
学生等はによる収入、給与所得者の基礎収入については、その後の昇級の可能性も考慮されることもあります。 |
Q:中間利息控除というのは何でしょうか。 |
A:逸失利益とは、将来得られたはずの収入ですが、実際には、これは、将来毎月あるいは毎年取得するはずのもので、一括に取得できないはずです。しかし、損害賠償では一括で取得できるので、その分の中間利息も差し引く必要があります。
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Q:生活費を差し引くのは何故ですか。 |
A:生きていればかかったはずの生活費がかからないので、その分が差し引かれます。生活費控除率は、裁判上ある程度の基準があり、例えば、被扶養者が2人の家庭で一家の支柱がなくなった場合には、30%が差し引かれます。 |
Q:平均就労可能年齢は何歳ですか。 |
A:裁判実務上の平均就労可能年数は67才までです。高齢者については、隔年の簡易生命表の余命年数の2分の1とする例が多いです。 |
Q:一家の支柱である32才の男子会社員で、年収600万円、妻と子供の3人暮らしの場合。 |
A:600万円×15.803×(1−0.3)=6,637万2600円となります。 |
Q:後遺症の場合の逸失利益はどのように算定されるのですか。 |
A:基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失率に対応するライプニッツ係数という計算式で算出されます。 |
Q:基礎収入額はどのようにして決まられるのですか。 |
A:休業損害のところで述べたのと同じように、現実の収入あるいは賃金センサスを使用して決定されます。 |
Q:労働能力喪失率はどのように決められるのですか。 |
A:労働省労働基準局長通牒別表労働能力喪失率表の等級と率を目安に決定されます。例えば、事故により片足の膝下を切断した場合には第4級として92%の労働能力喪失率になります。 |
Q:後遺障害の等級の認定はどのようにされるのでしょうか。 |
A:後遺障害の認定は、被害者から自賠責の保険会社に対して、保険金を請求する手続きの中で行われる場合と、加害者あるいはその任意保険会社からの照会によってなされる場合があります。実際の認定は、自動車料率算定会(自算会)というところで、医者の後遺障害診断書などの資料に基づき行われます。 |
Q:平均就労期間までの期間の逸失利益がもらえるのでしょうか。 |
A:裁判実務では、神経症状による後遺障害の場合には、労働能力喪失期間を、5年乃至10年くらいに区切る扱いも多いです。 |
Q:専業主婦や学生、無職者など現実の収入のない場合の逸失利益はどうなるのでしょうか 。 |
A:無職者であっても、労働能力や意欲がある場合には、認められます。専業主婦についても、休業損害のところで述べたように、家事労働に財産上の利益があると認められているので、逸失利益は認められます。 |
Q:32才で年収600万円の会社員が、事故のより片足の膝下を失い、第4級の後遺障害と認定された場合。 |
A:600万×0.92×15.803=8723万2560円となります。 |
Q:死亡・後遺症慰謝料はどのくらい請求できるのですか。 |
A:裁判例の蓄積により、ある程度の基準があり、一家の支柱が死亡した場合は2800万円、また、先ほどの12級の後遺障害の場合、金290万円が目安となります。 |
Q:交通事故の裁判で、よく問題となる点は、どのようなことですか。 |
A:@被害者にも過失があるとして、過失相殺が争われることがよくあります。A次に、収入の変動の幅が大きいかったり、証拠が乏しい場合に、休業損害や逸失利益算定の基礎収入につき争われることもよくあります。収支の証拠は、日ごろから散逸しないようにすることが必要です。B自算会の、後遺症の等級認定に不満がある場合には、裁判上、その等級認定を争うことができます。
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Q:過失相殺率の検討はどのようにするのでしょうか。 |
A:多くの事例について、今までの裁判例の蓄積により、画一的な過失相殺割合の基準がありますので、その基準に基づいて判断されることが多いです。また、過失割合が争われる場合は、加害者の刑事記録を取り寄せて検討することが不可欠となります。 |
Q:後遺症の認定に不服がある場合、裁判において、自算会の後遺症認定が変わることはあるのでしょうか。 |
A:裁判所は、自算会の認定には拘束されないものの、その認定に従って判断するのが通常なので、等級認定を変えることはかなり困難です。少なくとも、通院した病院の診療録、主治医の意見書、新たな検査方法に基づく診断書、医師の鑑定意見書などの資料は必要となります。 |
Q:裁判以外で後遺症認定に対する不服を申し立てる方法はありますか。 |
A:加害者の自賠責の保険会社に対して、異議の申立をすることもできます。異議を申し立てても、認定された等級に基づく賠償金は支払われますし、等級が下がることはありません。 |
Q:裁判になると、長くかかるのではないですか。 |
A:交通事故の場合、多くの問題点につき、これまでの裁判の蓄積により、一定の基準が確立されており、その基準に基づいて、早期の解決が目指されていて、早ければ6か月くらいで解決することもあります。一般的に、保険会社の基準よりも裁判所の基準の方が高いので、保険会社の呈示する賠償額に不満がある場合は、裁判にした方がよい場合も多いです。
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Q:損害賠償は、何時まででも請求できるのですか。 |
A:自賠責に対する被害者からの請求は、損害及び加害者を知ったときから2年で時効消滅してしまいます。また、加害者に対する請求についても、加害者及び損害を知ってから3年で消滅時効にかかりますので気をつけてください。
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Q:物損により請求できるのはどのような損害ですか。 |
A:修理費、修理が不能又は著しく困難であるときは事故当時の時価相当額と事故車の売却価格の差額(買替差額費)、修理したのに原状に回復できない損傷が残る場合などの評価損、代車使用料、営業用車両についての休車損、全損で買替をした場合の登録手数料等を請求できますが、物損に対する慰謝料は認められていません。
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Q:示談代行つき保険とは何ですか。 |
A:被害者との示談交渉を保険会社が行う旨の規定がある保険で、自動車総合保険(PAP)と自家用自動車総合保険(SAP)があります。PAPは対人自己に関してのみ示談同行を行うことができるのに反し、SAPは対人・対物の両事故についてそれぞれ示談代行ができることになっています。加害者や保険会社の立場からみれば、便利な制度ですが、保険会社の示談代行においては、保険会社側の内部的基準によって損害賠償額が決められることになります。保険会社側の内部基準は、必ずしも、裁判所の判断と同じではなく、むしろそれよりの少額なことが多いですから、被害者としては、保険会社側の呈示に不満がある場合には、承諾書などに署名捺印をする前に、弁護士に相談をするとよいでしょう。また、被害者が示談代行に反対している場合は、保険会社は示談代行することができないことになっています。
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Q:交通事故の相談機関としてはどのようなものがありますか。 |
A:各弁護士会の一般有料法律相談の他、@日弁連交通事故相談センターにおいて(神奈川県では、神奈川県弁護士会内045-211-7700)弁護士による無料相談及び示談あっせんを行っております。A総務省所管の財団法人交通事故紛争処理センター(東京本部03-3346-1756)において、弁護士による無料相談及び和解のあっせんなどを行っています。その他、B弁護士会の仲裁センター(神奈川県弁護士会045-201-1881)では、低額の手数料で、弁護士や元裁判官、元検察官による仲裁を行っております。
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