Q:被疑者と被告人とは、どこが違うのですか。 |
A:被疑者とは、犯罪の嫌疑を受けているが、まだ起訴されていない者であり、被告人とは、起訴された者です。 |
Q:窃盗事件を起こして逮捕されました。弁護士を頼みたいけど、知ってる弁護士がいません。どうしたらよいでしょうか。 |
A:起訴前でしたら、弁護士会に当番弁護士の派遣を頼むとよいでしょう。起訴された後に弁護人がいなければ、裁判所が国選弁護人を選任してくれます。 |
Q:当番弁護士制度とは、どういうものですか。 |
A:被疑者が、逮捕後1回無料で弁護士に相談できる制度です。当番として待機している弁護士が迅速に接見に来てくれます。被疑者自身はもちろん、ご家族も申し込むことができます。
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Q:国選弁護人と私選弁護人とは、どこが違うのですか。 |
A:私選弁護人とは、個人的に選任した弁護人で、起訴前から選任することができます。国選弁護人は、貧困等の事情で弁護人を選任することができないときに裁判所がつける弁護人のことです。国選弁護人は起訴後にしかつきません。ですから、重大事件、事実に争いがある事件、起訴されるか否か微妙な事件、被疑者が不安に思っている事件などでは、被疑者段階から私選弁護人をつけることをお勧めします。
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Q:私選弁護人を頼むと、どんなことをしてくれるのですか。 |
A:被疑者と面会を重ね、不安や疑問を取り除き、励まします。弁護士以外の家族などとの面会は、警察官が立会い、時間も制限されてしまうので、弁護士の面会は非常に心強いものです。また、警察・検察に適正な捜査を働きかけ、釈放に向けて検察官と交渉します。さらに、被害者との示談交渉、勤務先との調整、家族との連絡、保釈請求等を行ないます。
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Q:逮捕後いつまで身柄を拘束されることになるのでしょうか。 |
A:通常のケースですと、逮捕されると2、3日間警察署で留置され、続けて勾留されると10日間身柄を拘束されます。さらに10日間勾留が延長されることもあります。勾留期限が切れる日に起訴されるか不起訴となるかが決まり、起訴されると判決が出るまで引き続き勾留されることになります。もっとも、起訴後には保釈が認められることもあります。
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Q:保釈が認められるのはどんな場合ですか。 |
A:保釈とは、保証金の納付等を条件として釈放される制度です。起訴前は認められていません。法律上、起訴された被告人には保釈される権利があることになっています。しかし、実際は、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」(刑事訴訟法89条4号)という除外事由が広く認められ、保釈が許可されないケースも多くありますし、保釈の必要性がなければ認められないのが現状です。保釈保証金の額は、100万円から300万円の範囲で決まることが多いです。実務上、請求は書面で行い、身柄引受書の提出も必要です。
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Q:警察に被疑者として任意出頭を求められました。できれば出頭したくないんですが、行かなければならないのでしょうか。 |
A:出頭義務はありません。ただ、何も理由を明らかにしないまま出頭要求を拒み続けていると、かえって証拠隠滅や逃亡のおそれありと判断されてしまい、本来不要であったはずの逮捕を惹起させてしまうこともありえます。弁護士に相談して詳しい事情を話し、場合によっては窓口となってもらうとよいでしょう。 |
Q:警察から参考人として出頭を求められたのですが、どうしたらよいでしょうか。 |
A:まず、どういう理由で出頭を求められているか聞くとよいでしょう。証人として取調べをしたいというのであれば、出頭を拒否しても逮捕されるおそれはないでしょう。ただ、検察官の請求を受けた裁判官から、公判前の証人尋問に呼ばれる可能性はあります。注意がいるのは、実際は被疑者と考えられながら、決め手がないままとりあえず参考人として取り調べる場合です。その際、参考人の取調べでは、黙秘権の告知がされないので注意してください。黙秘権は何人に対しても保障されるものであり、当然に参考人であっても供述を拒否できます。
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Q:いきなり自宅に警察官が来て、捜索を始めました。どうすればいいでしょうか。 |
A:まず、令状を見せてもらってよく読み、現場にコピー機があれば令状のコピーをもらい、なければ被疑事実、差押対象物を書き留めておくとよいでしょう。さらに、執行責任者の氏名・官職・所属機関名を確認しておいたり、書類やフロッピーなどは、コピーを取らせてもらうなどするとよいでしょう。
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Q:押収された物の中に、どうしても必要な物があります。返してもらえないのでしょうか。 |
A:捜査機関による押収の効力は、事件の終結まで持続しますので、それまで返してもらえないのが原則です。しかし、還付・仮還付という制度があります。前者は留置の必要がない物を、後者は留置の必要性はなくなっていないが、一時返還しても、捜査上支障のない物を返還する制度です。手続きは、還付書または仮還付書を、検察官送致前は当該警察署の署長宛てに、送致後は担当の検察官宛てに提出します。交通事件で免許証を提出したときなど、仮還付の請求をするとよいでしょう。
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Q:裁判にはどのくらい時間がかかるのでしょうか。 |
A:事案簡明な事件ですと、審理は1回(約1時間)で終わり、その数週間後に判決が言い渡されます。証人尋問等が必要な複雑な事件では、何回か期日が開かれます。
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Q:執行猶予とは何ですか。 |
A:実刑判決の執行が猶予され、再度実刑判決を受けるなどということなく執行猶予期間を無事に過ごせば、実刑判決は効力を失い、刑務所に入ることはなくなるという制度です。
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Q:うちの子が傷害事件で逮捕されました。今後どういう手続きになるのでしょうか。 |
A:ケースにもよりますが、通常、逮捕・勾留された後、家庭裁判所に送致されます。その後少年鑑別所に送致されて資質鑑別を受けた後、家庭裁判所で審判を受けることになります。
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Q:少年鑑別所とはどんなところですか。 |
A:少年鑑別所では、収容された少年の資質について科学的な診断(知能検査、性格検査、面接調査、身体検査など)を行ない、少年がなぜ非行をするようになったのかを検討し、立ち直るためにはどうしたらよいかといった処遇方針を立てます。鑑別結果は、家庭裁判所に提出され調査官の報告及び裁判官の審判の参考になります。期間は2週間ですが、通常更新され、3週間前後で審判の期日が入ることが多いです。逮捕・勾留された事件では、鑑別所に収容されることが多いでしょう。ただ、鑑別所で少年の資質を科学的に鑑別することにより、少年の問題点が明らかになったり、少年にとって自分を見つめ直す機会をとなる場合もあります。
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Q:弁護士を頼んだ方がよいのでしょうか。 |
A:弁護士は家裁送致前は弁護人、送致後は付添人として、主として、手続きが適正に行なわれているか監視すること、少年に頻繁に接見に行くこと、家庭・学校・職場等の環境を調整すること、被害者と示談交渉をすること、そしてこれらの結果を裁判所に書面・口頭で伝えることなどです。特に、重大な事件や犯行を否認している事件では、弁護士を頼んで付添人になってもらうとよいでしょう。少年は、成人に比べて、警察官や検察官の取調べで、事実とは異なる自白調書をとられてしまう危険が高いからです。
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Q:息子のために弁護士を頼みたいのですが、お金がありません。どうしたらよいでしょうか。 |
A:少年付添人援助事業制度があります。これは、法律扶助協会と神奈川県弁護士会が連携して設けた制度で、付添人を選任する必要性と相当性が認められる事案でありながら、付添人費用が支払えない少年に対し、その費用を援助する制度です。申込書は弁護士会に用意されています。援助費用は少年に償還を求めないのが原則です。
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Q:審判の結果言い渡される処分にはどんなものがあるのですか。 |
A:@不処分A保護処分B検察官送致C試験観察、があります。
保護処分にはさらに保護観察、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致があります。 |
Q:保護観察とは、どういう処分ですか。 |
A:少年の身柄を拘束せずに、保護観察所の保護観察官と保護司の指導監督下で、改善更生を図るものです。その期間は原則として2年ですが、一般保護事件の場合問題行動がなければ1年くらいで解除されることが多いです。 |
Q:少年院に送られたら、どのくらいで出てこられるのでしょうか。 |
A:少年院の処遇には、大きく分けて短期処遇と長期処遇とがあり、仮退院までの期間は、長期処遇で1年間くらい、一般短期処遇で150日間くらいが平均的です。
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Q:検察官送致(逆送)されるのはどんな場合ですか。その後どうなるのですか。 |
A:@年齢超過(20歳以上)の場合A刑事処分が相当と認められる場合B原則逆送事件(故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で、少年がその罪を犯したとき16歳以上である場合)の3つです。逆送後は、原則として検察官により起訴され、通常の刑事事件と同様の手続きにより処分が決められます。
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